御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
囁かれた切ない願いに、これまで押しころしていた感情が溢れそうになる。

ずっと会いたかった。愛していた。

しかし、決して口にしてはいけないと、私は拒絶するように首を横に振る。

彼は表情に悲しみを滲ませたけれど、すぐにまた精悍な顔つきに戻った。

「……許されるなら知りたい。この三年で君になにが起きたのか。そして償わせてほしい」

この子たちが自分の子どもであると直感しているのだろう。口にはできない理由があることも。もしかしたら、私がまだ皇樹さんへの未練を断ち切れていないことまで、気付いているのかもしれない。

私は心のどこかで、まだ彼と一緒になりたがっている。自身の意思の弱さを呪った。




皇樹さんを一度見送ったあと、紅葉の家の大きなお風呂に、私と柚希と柑音の三人で入った。

ボタンを押すとぶくぶくと泡が出るものだから、ふたりは大喜びだ。

それから、リビングのローテーブルとソファを端に寄せて、布団を二枚敷いた。

慣れない環境にそわそわしていたふたりだけれど、保育園でたくさん遊んで疲れていたのだろう、部屋を暗くしたらあっという間に眠ってしまった。

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