御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
お互い、すれ違いや誤解がたくさんありそうだ。私も皇樹さんがどうしてここにいるのか、『償わせてほしい』とはどういう意味なのか、気になって落ち着かない。

イギリスに家族がいて、幸せに暮らしていると言うのなら、子どもたちはあなたの子ではないと嘘をつき通すつもりだ。償う必要などないと、安心させてあげようと思う。

そして、あらためてさよならをする――そんな決意で助手席に乗り込んだ。

「……まずは謝らせて。君を見つけるまで、時間がかかってしまった」

フロントガラスの奥に目を向けながら、皇樹さんが切り出す。

「それは、私が姿を消したからで」

「一年で帰ってくると約束したのに、三年もかかった俺が悪い」

向こうで婚約したのなら、帰ってこない方が自然だ。だがその言い方はまるで――。

「ようやく帰国の目途が立った。今は父の葬儀のために一時帰国しているが、秋にはイギリスでの仕事を終えて日本に戻る」

「え……」

驚いて彼を見つめる。イギリスで家庭を築いたのではないの? でもそれ以上に驚いたのは――。

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