御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
彼は信号の合間に鋭い目をちらりとこちらに向けてきた。

「あの子たちは、俺の子だよな。ふたりの年齢を考えても辻褄が合う」

唐突に本題を切り出され戸惑う。答えあぐねていると、彼が「なにより」と言い募った。

「楓が俺以外の男に体を許すとは思えない。……思いたくない」

切ない顔でそう口にするので、あなたの子ではありませんなんて言えなくなってしまった。

なにより皇樹さんにそっくりな子どもたちが遺伝子レベルで真実を告げている。もしDNA鑑定でも求められようものなら、言い逃れできない。

「…………はい。ふたりはあなたの子です」

とうとう追い詰められて告白する。

「でも、皇樹さんに迷惑をかけるつもりはありません。なんの相談もなしに勝手に産んだことは、申し訳なかったと思っています。でも、私ひとりで育てる覚悟があったからこそで――」

膝の上の手をきゅっと握り込む。運転する彼の横顔に向かって、力の限り訴えた。

「謝罪も償いもいりません。皇樹さんはご自身の家庭を大事になさってください」

「ご自身の家庭、とは?」

彼があからさまに眉をひそめる。

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