御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「それはもちろん……イギリスに住む、皇樹さんの奥様とか」

「いったいなんの話だ?」

彼の、とぼけているにしてはあまりにも純粋なリアクションに、今度は私が眉をひそめた。

「イギリスの格式高い家のご令嬢と、結婚したんですよね?」

「婚約者がありながら、別の女性と結婚するわけないだろう」

「婚約者って……え、まさか私ですか?」

「なっ……プロポーズしたつもりだったんだが!? 婚約指輪も渡しただろう!」

「そ、それは、そうですけどっ!」

聞いていた話とあまりにも食い違っていて動揺する。

まさか皇樹さんは、今でも私のことを婚約者と思ってくれているの? 洸次郎さんからの伝言が伝わっていない?

それ以前に、ご令嬢との婚約はどうなったのだろう。

「良家のコネクションがなければ跡継ぎになれないって……イギリスのご令嬢と婚約したって……」

「その話、誰から聞いた?」

皇樹さんの目が、なにかを警戒するようにすっと細まる。

なんとなく洸次郎さんの名前が出しにくくて押し黙ると、彼はふっと小さく息を吐き出した。

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