御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
しばらく車を走らせると、そこは思い出の海浜公園。私たちが予期せず再会した場所だ。

誰もいない夜の駐車場に車を停め、外に出る。

懐かしい海辺の景色を眺めながら、私はこの三年間の出来事を少しずつ彼に伝えていった。まるで自分の感情を整理するかのように。

会社を辞めて、お腹を隠しながらアルバイトをしてきたこと。親に勘当されてしまったこと。出産まで支えてくれた紅葉への感謝。慌ただしかった育児。素敵なオーナーに出会えて、今は楽しく働いていること。

「あの服は紅葉が着るんだな」

オーナーからもらった秋服について切り出した皇樹さんに「嘘をついてごめんなさい」と謝る。

「いや、いいんだ。ただ、いつか俺も子どもたちとお揃いが着たいなって」

はにかむように言う彼の表情にも、内容にもドキリとさせられる。

「悪い。ただの願望だ。……でも、これだけはわかってほしい」

立ち止まり、真摯な眼差しをこちらに向ける。

「君にとっても、子どもたちにとっても大切な三年間に、俺はなにもしてやれなかった。二度と苦しい思いはさせない。君がどんな決断をするとしても、必ず力になるから」

「皇樹さん……」

私の気持ちを精一杯尊重しながらも、そう力強く伝えてくれた彼に、これまで強張っていた心が緩くほぐれていくのを感じた。




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