御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
第一章 極秘ベビーにパパの遺伝子が色濃くて
テレビから軽快な音楽が流れ始めた。朝の教育番組の体操曲だ。
『わくわく、じゃーんぷ♪ どきどき、きーっく♪ トカゲもパンダも元気だよ~♪』
音楽に合わせて踊っているのは、我が家の長男・柚希。元気でおてんばな二歳半。
一方、大人しくソファに座ってテレビを見つめているのは、同じく二歳半の長女・柑音である。
ふたりは双子。二卵性で性別差もあるけれど、外見はそっくりだ。
黒々とした艶やかな直毛を、柚希は短く切り揃えていて、柑音はサクランボの髪飾りで三つ編みにしている。
柚希の方はきりっとした眉に、意思の強そうな目。柑音の方は、ちょっぴり八の字になった困り眉に、きょろんとしたキュートな瞳。
ふたりとも目の色は漆黒で、私のブラウンとは全然違う。完全に父親似である。
……私の遺伝子、どこ行っちゃったのかなあ。
ちょっとくらい似てくれてもよかったのになあと、寂しい気持ちになる。とはいえ、外見に関係なくかわいいのだけれど。
性格は真逆で、心のままに歌って踊る柚希と、じっと鑑賞するタイプの柑音。