御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「必ず見つけ出してみせますわ! そして、わたくしの方が皇樹さんに相応しいと証明してみせます」

ぴたりと足を止める。

適当にあしらっていたが、楓が巻き込まれるとなれば話は別だ。俺がどれだけ絡まれようとかまわないが、楓に危害を加えるやつは許さない。

肩越しに振り向き睨みつけると、ようやく失言したと気づいたのか、女生徒がびくりと震えた。

「すまないが、君には興味がないんだ。これ以上、詮索しないでくれ」

冷ややかに言い置いて、その場を立ち去る。さすがにもう追いかけてはこなかった。

教室に向かう途中、「見たよ~」という軽快な声が背後から飛んでくる。

「すごいな。十年以上、一緒にいるのに怒ってるとこ初めて見た。っていうか、怒るんだ? むしろ叱られたいドMなファンが増えちゃうんじゃない?」

そう軽口を叩くのは、クラスメイトの成元(なりもと)だ。久道家に次ぐ名家の出身。この学校はエスカレーター式なので半数は幼稚園の頃からの知り合いなのだが、彼とは家族ぐるみの付き合いでとくに親しくしている。

「今の先輩、誰だか知ってる?」

「立の木建設の娘」

「ああ、よかった。それならなんとかなる」

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