御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ただね。自分できちんと理解してくれたみたいだ。自分は皇樹に相応しくないと」

「楓が雲隠れするのを手伝ったのは、洸次郎さんですね。どれだけ探しても見つからなかったわけだ」

連絡が取れなくなり異変に気づいた俺は、帰国して彼女にまつわる場所をすべて探した。

自身のコネクションを使い彼女の勤めていた会社に探りを入れてみたけれど手がかりは得られず、彼女の実家にも連絡を取り、引っ越し先を聞いたが、その住所すらダミーで両親さえ行き先を知らないようだった。

なんの成果も得られないままイギリスに戻った俺は、信頼できる人間を使って楓の行方を探させたが、やはり手がかりが見つからない。

何者かに隠されたかのように、楓の足取りは綺麗に消えていて違和感を覚えた。

洸次郎さんは背もたれに悠然と体を預け、口調だけは申し訳なさそうに語る。

「全部彼女の意思だ。俺は転職に協力してあげたくらいだよ。その会社にも入らなかったみたいだけれど」

ひくりとこめかみが引きつる。その転職先には、入りたくても入れなかったのだろう。彼女は妊娠していたから。

「彼女の妊娠については、知っていたんですか」

< 143 / 255 >

この作品をシェア

pagetop