御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
八月の上旬、この週末だけでも帰国できるようにとなんとか都合をつけた。

見せたいものがあると約束を取りつけ、楓が休みの日曜日、三人を迎えに行く。もちろん、車にはチャイルドシートを装備。普段仕事で使うホワイトのセダンではなく、家族四人で広々と乗れるファミリーカーを購入した。

目的地は楓たちの住むマンションからそう遠くない場所にある。

「ここなんだけど、どうかな? 気に入ってもらえるといいんだが」

そう言って案内したのは、セキュリティのしっかりした高級低層マンション。

楓たちの生活圏で、移動に便利でもっともハイクラスな物件を購入した。せめて住む場所くらいは力になりたかったのだ。

すぐに三人が入居できるよう、イギリスにいる間に準備を進めていた。

マンションのエントランスは床も壁も真っ白な大理石が張られていて、明るく広々としている。円形の柱やヨーロピアンな調度品は、まるで西洋の城の中にいるようだ。

優雅佇まいのコンシェルジュが出迎えてくれる。

「おっきな……おしろ?」

不思議そうに呟いた柚希に、楓は「豪邸、ね……」と補足する。

「ごおてえ……」

柑音はこういう場所が好きなのか、興味深そうに辺りを見回し、目を輝かせている。

柚希は駆け出そうとするが、すかさず楓が「ダメよ! ここはみんなの場所」と制止した。

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