御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
みんなの場所――公共の場は走ってはいけないと教育しているらしい。柚希は元気よく手を挙げて「はーい」と答えた。なかなかきちんとしている。

「ここは……皇樹さんの新居ですか?」

「いや。楓たちへのプレゼント――というか、これまでの養育費の代わりだと思って受け取ってほしい」

楓があんぐりと口を開ける。子どもたちは意味がよくわからないのか、とりあえず楓にならって驚いた顔をした。

「ぷ、ぷれ……え、家!? こんな……っ」

「できるだけ保育園に近くて、通勤もしやすい場所を選んだ。幸い、紅葉の家からもそう遠くない。不便はないと思う」

コンシェルジュに車のキーを預けると、別のコンシェルジュが部屋まで案内してくれた。

用意した部屋は一階と二階のメゾネットタイプ。俺もここに来るのは初めてで、どんな仕上がりになっているか楽しみだ。

「なにより、ここならセキュリティ面で安心だ。なにかあればコンシェルジュが対応してくれる。シッターサービスもあるそうだから、必要に応じて使ってくれ。もちろん、住居費用含めてすべて俺が負担する」

このマンションを選んだのは、少しでも楓の負担が減ればという思いからだ。

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