御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
ここのコンシェルジュサービスがあれば、楓が忙しくて手が回らないとき、助けになってくれる。体調を崩しても、育児を頼める相手がいれば、休息に専念できる。

子どもたちに『ママを助ける』と約束したのだから。

「今後の住まいとして使ってもらえないか?」

ホワイトの大理石と明るいベージュの木目が優しく調和した玄関。脇には大きなシューズクローク。すでに女性と子ども向けの靴が数足入っていて、楓は「これ……」と声を震わせた。

「すぐ住めるように、中身も入れておいた」

コンシェルジュが細かな荷物を運び終え「御用がございましたら、いつでもお電話ください」と笑顔で出ていく。

四人しかいなくなったところで、楓が呆然と呟いた。

「なんだか夢を見ているみたいです」

「当然の権利だと思って受け取って。こどもたちが健やかに育つよう環境を整えてやるのが、今の俺の務めだと思ってるから」

これからのふたりの関係については、『考えさせて』と言われたまま、返答が来ていない。

だから常にそばにいることはできないし、直接助けてやることもできない。

これが今俺にできる精一杯だ。

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