御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
着替えを済ませ、髪をうしろでねじってローポニーにして準備完了。
リビングに戻ると、テレビの中のお兄さんお姉さんたちが『バイバーイ! またねー!』と手を振っているところだった。
双子たちもテレビに向かって仲良く手を振る。
私は急いでふたり分の荷物を玄関に運ぶ。月曜日なので洗濯したてのお昼寝用シーツとタオルも持っていかなければならず、いつも以上に荷物は山積みだ。
準備を整えリビングに戻ると、さっきまでご機嫌にテレビを観ていた柑音が嗚咽を漏らしていることに気づいた。
一瞬、目を離した隙になにが起きたというのだろう。不穏な空気が漂い始める。
「柑音、どうしたの?」
「ままー。ゆじゅがね、ゆじゅがね……」
どうやら柚希がなにかしたらしい。
柑音はおとなしい性格のせいか、わんわん泣くことがない。しくしくとすすり泣く様子に、見ているこちらも胸が痛む。
一方、柚希を見ると、柑音が大切にしているクマのぬいぐるみのララちゃんを掴んで一緒に踊っていた。
状況をあらかた察する。