御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
柚希の言葉に、楓はどう答えていいか悩み「ええと……」と視線をこちらに向ける。

「もらってくれ」

静かに頷くと、楓は逡巡しながらも、子どもたちに「うん。プレゼントだよ」と答えた。その瞬間――。

「かのんも、おしろにすめるの!?」

普段は大人しい柑音が一際大きな声で、目をキラキラさせながらぴょんと跳ねた。

「うん。ここに住もうか」

穏やかな楓の言葉に、柑音は目を大きく開き、周囲をぐるぐると見回して。

「わぁぁぁぁ…………」

よっぽど嬉しかったのか、うっとりとした声をあげた。

「かのん、おひめさまみたい! すてき!」

楓が呆然としながら「こんなに喜んでる柑音、初めて見た……」と呟く。

お姫様と聞いてふと思い出した俺は、柑音に微笑みかけた。

「お姫様になりたいなら、もっといいものがあるよ。おいで」

柑音が今度はなんだろうと、うきうきしながらついてくる。俺は玄関を上がって、脇にある階段を上り二階へ。右手にある部屋のドアを開ける。

「ここが柑音の部屋」

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