御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
頬を緩めて柑音を見つめていたら、ツンツンと足をつつかれた。

ふと視線を落とすと、まるで順番待ちでもするかのように、柚希が大人しくこちらを見上げている。

「ゆずはー? ゆずはー?」

そわそわしながら体を揺らしていたので、お利口さんだなと思わず笑みがこぼれた。

「もちろん、柚希の部屋もあるよ。おいで」

柑音の部屋の正面が柚希の部屋。中はホワイトとブルーとグレーが爽やかに配置された男の子らしい部屋だ。

中央にはクッションでできた滑り台があって、まるでアスレチックのよう。

「わーーー! すごーい!」

叫びながら、滑り台に飛び乗る柚希。ふと部屋の隅にあるテントに目を向け「あれ、なあに? なあに?」と飛んでいく。

「それは秘密基地」

カーテンの入口を開けると、中には小さなスペースとふわふわクッション、そして車などのおもちゃが置かれている。

「かっこいいー!」

こちらも気に入ってくれたみたいで安心する。隣で見ていた楓が「やっぱり贅沢すぎて、怖くなってきちゃいました」と笑顔で震えている。

「楓の家はもっと広いだろう?」

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