御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「でも古い日本家屋ですし。畳と布団じゃ、天蓋付きのお姫様部屋や、秘密基地には敵いませんもん。……私も、こんな部屋に住みたかったな」

唇に人差し指の先を当て、羨ましそうにふたりを見つめる楓。どうやら彼女もお姫様に憧れていたらしい。

柑音を招いて秘密基地ごっこをしていた柚希だが、ひょっこりと窓から顔を覗かせて「ママのへやはー?」と尋ねる。

「もちろんあるよ」

一番奥の部屋が主寝室――楓の部屋だ。

キングサイズのベッドと、広々としたウォークインクローゼットがあり、すでに衣服やバッグ、装飾品が揃っている。

窓の外にはバルコニー。ガーデンチェアとミニテーブルが設置されていて、一日の終わりに月を眺めながらほっとひと息、なんてくつろぎ方もいいだろう。

「私の分まで用意してくれたのね」

楓が柔らかく目を細める。

「おそとにいけるー」

「ママのおへや、いいなー!」

外に出たがっているふたりを連れてバルコニーへ。手すりの隙間から見下ろすと芝生の庭が広がっていて、子どもたちは「あそこにもいけるのー?」「いきたい! いきたい!」と騒ぎ出す。

「オーケー。順番に案内するよ」

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