御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
だが、一応本人たちからも事情を聞くべきだろう。柚希には悪気がないかもしれない。私はあらためて柑音に向き直り「うん。柚希がどうしたの?」と尋ねる。

「ララちゃん、ぶんぶんするの」

すかさず柚希が飛んできて反論する。

「ちがうよ、こうかんっこ、したの!」

確かに、柑音の手には柚希の電車のおもちゃが握られている。

「柑音はこうかんっこ、『いいよ』って言ったの?」

「うん」

「じゃあどうして柑音は泣いてるの?」

「んー、わかんない」

あっけらかんとして、再びララちゃんで遊び始める柚希。

柑音は眉を下げて、目に一杯に涙をためながら、ぽつりと漏らした。

「ララちゃん、てて、いたいいたい……」

見れば、柚希がララちゃんの腕を掴んで振り回している。

「柚希。ララちゃん、手が痛いって言ってるよ」

柚希はララちゃんを見てきょとんと首を傾げる。とくに痛そうな顔もしていないので、ピンとこないのかもしれない。

「大事、大事して。柚希だって、電車をぶんぶんされたり、ぶつかって壊れちゃったら、悲しいでしょう?」

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