御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「笑顔が見られてよかった。俺の方が救われた気分だったよ」

「柑音があんなに嬉しそうな顔をするとは思いませんでした。お姫様が好きっていうのは、なんとなく知っていたんですが。ドレスを買ってあげる余裕なんてなかったですし」

「さっそくお色直ししていたからな」

皇樹さんが用意してくれたドレスはピンクと黄色。両方試してお姫様気分を堪能していた。

「なにより、楓の笑顔も見られてよかった」

「私、そんなに笑っていましたか?」

「ああ。はしゃぐ子どもたちを見て、とても幸せそうにしていたよ」

こちらに回り込んできて、距離を置いて隣に座る。

少し不思議な感じだ。触れられそうで触れられないこの距離が、まるで恋人と呼び合う前に戻ったかのようで、懐かしくもあり新鮮でもある。

「相変わらず、楓は笑顔がかわいい。……いや、綺麗になった。見違えたよ」

不意に艶めいた眼差しをされ、ドキリとする。彼のなにげない仕草から、その優雅な出で立ちとは裏腹に、雄々しい一面があるのだと思い出してしまうときがあって。

「少し驚いた。楓はいつまでも、あどけない印象があったから」

「……もしかして、子どもっぽいって意味です?」

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