御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「そうじゃないよ。純粋で柔らかいイメージがあったんだ。それから年下のイメージ」

それを言うなら私も、皇樹さんはいつまで経っても追いつけない、頼もしい大人のイメージがある。

「でも、母親になった楓は変わった。柔らかさも残ってはいるけれど、ときに強く、芯のある女性になった。子どもたちを守るために変わったんだってわかったよ」

三年間、走り続けることに必死で、自分がどう変わったのかはわからないけれど。母親らしくなれたのなら、それは嬉しい。

皇樹さんはどこか嬉しそうにしながらも、まいったように額に手をあて、背もたれに体を預けた。

「年下だから、守ってやろうなんて考えていた俺が間違ってた。楓はもう、守られる側じゃなくて、守る側になったんだって」

「皇樹さん……」

「惚れ直したよ。パートナーとして、すごく頼もしい女性になったって感じてる」

彼と別れると決意したおかげで成長できたというなら皮肉なことだけれど。あの頃、欲しかった言葉をかけられ、胸を打たれる。

「……嬉しいです。皇樹さんに相応しい、立派な女性になりたいって、ずっと思ってから」

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