御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
そう言って誇らしげに胸を張る。ああ、彼は夢を現実にしたのだ。

努力が実った、それがまるで自分のことのように嬉しい。

「楓。頑張った俺に、ご褒美をくれないか」

柔らかな眼差しが近づいてくる。私はごくりと息を呑みながらも、彼の夜空のように深く澄んだ漆黒の瞳に釘付けになった。

「言っただろう。俺の夢は、久道グループを牽引する人間になること。そしてもうひとつ」

私の顎を優しく持ち上げて、顔を近づける。

「君とともに生きることだ」

「皇樹さん……」

近づいてくる唇を避けようとは、もう思わなかった。

そっと目を瞑り、そのキスを受け止める。三年ぶりのキスなのに、唇はその感触を覚えていて、彼の舌の愛撫に合わせて勝手に口が動いていた。

「……ちゃんと、覚えていてくれたんだな」

彼がゆっくりと体を離しながら言う。

「忘れられないように刻み込んだのは、皇樹さんです」

だって、今も昔もキスをするのは彼とだけ。それ以外を知らないのは当然だ。

彼は満足げに眼差しを緩めて、私の体をそっと包み込む。

「もう何度めのプロポーズかわからないな。相当あきらめが悪いけど、言わせてくれ」

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