御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
そう言って、情熱を押し込めるかのように強くかき抱く。

「俺と結婚してほしい。今も昔も、愛しているのはたったひとり、君だけだ」

もうどれだけ待たせたかわからないプロポーズの返事。

ずっと彼の想いに応えられないまま、何度あきらめようとしたのかわからない。なのに――

「あきらめが悪いのは、私の方です」

この選択が間違っていないとは言い切れない。でも、この想いに蓋をするのは、彼にとっても、子どもたちにとっても失礼だと思った。

私は私の心のままに生きたい。愛している人に愛していると伝えたい。

「ずっとずっと、愛しています。私のそばにいてください」

彼の背中に手を回してプロポーズに応える。三年間降り積もった思いは、どれだけ抱擁しても、どんなに力を込めて抱き返しても、表現しきれないほど熱く重たい。

「子どもたちに、説明します。皇樹さんがパパなんだって。だから、柚希と柑音が許してくれたら――」

甘いキスで唇を塞ぎ、その言葉の続きを彼が先回りする。

「今度こそ、結婚しよう」

大きく頷いて、彼の胸に顔を埋める。ようやく彼のプロポーズに応えられた、その充足感で、これまでの苦難すべてが昇華した気がした。




翌日の月曜日、朝早くにマンションを出て自宅に戻り、保育園の準備を整えた。

皇樹さんの車に乗せてもらい、ふたりを園に預け、私は仕事に向かう。

その日の夜。夕食を終えた私は、ふたりにあらためて切り出した。

「柑音。柚希。よく聞いてほしいの」

大事な話があると子ども心ながらに察したのだろう、お行儀よく正座する。
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