御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ちゃんとパパの部屋も作ってもらったから大丈夫だよ。ほら」

そう言って案内してくれたのは書斎。以前はテーブルや作り付けの本棚、リラックス用のラウンジチェアがゆったりと置かれていたが、今はクローゼットが部屋の半分を占めている。

「ごほん、よむへや?」

「ご本を読んだり、お仕事をしたりする部屋だね。ママのために作ったんだけど、使わないっていうから、パパがもらったんだ」

「ベッドがないよ?」

柚希がきょろきょろと辺りを見回しながら尋ねてくる。

皇樹さんが私にちらりと目線を送ってきたので、こくりと頷き返した。寝室をどうするかについては、事前に話し合ってある。

「寝るときは寝室の大きなベッドで、ママと一緒に眠るよ」

皇樹さんが寝室を指さすと、ふたりはガーンという顔をした。

パパとママだけ一緒でずるい!と思ったらしい、「ゆずも!」「かのんも!」と口々に騒ぎ出す。

「四人一緒……はさすがに無理かなあ」

キングサイズとはいえ、四人は厳しい。寝相がよければまだしも、ふたりは夜中に大運動会を開く。

「柚希と柑音は、格好いいお部屋とベッドをもらったでしょう?」

「やだやだー」

< 167 / 255 >

この作品をシェア

pagetop