御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
子どもたちと出会ったばかりの頃、ふたりから悪者呼ばわりされたことを思い出し、私たちは笑い合う。

「ちゃんと自分たちのお父さんだって、わかったのかもしれませんね」

人見知りの柑音も懐いているのだ、本能的に実の父親だと直感したのかもしれない。

「これからは、うんと大事にする。子どもたちも、楓も。……少し待っていて」

皇樹さんはなにげなく立ち上がり、バルコニーを出ていく。戻ってきた彼は隣のガーデンチェアに座り直し、私の手を引き寄せ握った。

「あらためて約束する。もう二度と離さない」

硬いものがこつりと手に当たって、目線を落とす。

握られていたのは、小さな横長の小箱。開くと、シンプルなプラチナのリングがふたつ、台座に置かれていた。

「これ……」

輝くリングに目を奪われる。

「いつでもつけられるように、なるべく肌に馴染むデザインにしたんだ。ずっとそばにいられるように。もう二度と離れなくて済むように、願いを込めて」

彼が小さい方のリングを持ち上げる。手を出してと急かすように言うから、おずおず左手を差し出した。


< 169 / 255 >

この作品をシェア

pagetop