御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
ちょっぴり言葉が難しかったのか、柚希はぱちりと目を瞬いて止まったが、ややあって理解したようだ。

ララちゃんのお腹を両手で抱きかかえ、柑音に「ごめんね」と謝った。

柑音はこくんと頷く。ようやく止まった涙と鼻水を、私はティッシュで丁寧に拭き取る。

「さ、ふたりとも。保育園に行く時間だよ。おもちゃは箱に?」

「「おかたづけー」」

コールアンドレスポンスが成功し、ふたりはおもちゃを部屋の隅にある箱の中に片付けに行く。

そのまま、ドタタタタターと大きな足音を響かせて玄関へ。

「はーい、じゃあ今日もパチリするよ」

号令をかけると、ふたりが靴箱の前に並んだ。私はふたりの横に立って、自撮りスティックにスマホを設置して構える。

「いくよー。背筋ピーン!」

リモコンのボタンを押すと、パチリとスマホからシャッター音が鳴って撮影完了。

これが服を無料で譲ってもらうための条件だ。親子でコーディネートした写真を店のブログにアップして宣伝するのである。

モデルを使った本格的な広告とまではいかなくても、これだけでオンラインショップの注文数が上がるので侮れない。

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