御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「嬉しいです。こうして、皇樹さんとお揃いの指輪をつけられるなんて」

「またひとつ、俺の夢が叶った」

薬指に彼がリングを差し込む。掲げると月の明かりを反射してきらりと光って、肌に馴染んだ。

「素敵です。……私も、やらせてもらっていいですか?」

小箱を受け取り、残ったもうひとつのリングを摘まみ上げる。彼の大きくて骨張った左手を持ち上げ、薬指の先にリングを当てる。

彼の指先はすらりと長く綺麗だけど、ごつごつしていて私よりもずっと太い。こういった自分との違いを発見したとき、彼は男性なんだなと強く実感する。

体を重ねたときは、嫌でも意識していたけれど――予期せず彼との夜を思い出してしまい赤面する。もう三年以上も前の話なのに。

「楓?」

「っ、ごめん、いろいろ思い出しちゃって」

「いろいろ?」

「なんでもないの!」

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