御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
慌てて薬指のつけ根までリングを押し込む。細くてシンプルなリングが、それぞれの左手の薬指で白い輝きを放つ。

「いつか式を挙げよう。それから、家族四人で新婚旅行も」

「はい」

幸せいっぱいで目を閉じる。吐息が近づいてくる気配。肩に手が触れ、唇に柔らかな感触。それが私の口内を愛撫するかのごとく、ゆっくりと侵入してくる。

ああ、これは、お誘いのキスだ。もっと深く愛し合いたいと求めているときの。キスからメッセージを受け取り体が熱くなる。

「皇樹さん……あの……」

躊躇いがちに彼の胸に手を置くと。

「指輪を渡してそうそうベッドに誘うなんて、変わり身の早い男だと思われるかな」

以前この家に泊まったときは、想いを通じ合わせたものの、別々の部屋で眠った。でも今日は――。

「思ってません……」

三年ぶりの体が、お互いを求めているとはっきりわかる。

恥ずかしそうに答える私を見て、彼がくすりと甘い笑みを漏らした。

「なんだか、初めてのときみたいに緊張するな」

「初めてのとき、緊張なんてしていたんですか?」


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