御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ああ。午後のフライトだから大丈夫。三人を車で送ったあと、のんびり空港に行くよ」

時間に充分余裕があると聞いて、私はおずおずと切り出した。

「あの……皇樹さん。お時間があるならこれ、付き合ってもらえませんか?」

そう言って彼の前に差し出した紙袋には、家族四人分の、お揃いの秋服が入っていた。



「かわいいじゃない~!」

出勤後、親子コーデを見たオーナーが歓喜の声をあげた。我ながら、なかなかインパクトのある家族写真が撮れたと自負している。

子どもたちはベージュのニットに赤いタータンチェックのボトムス。私はニットワンピの下にタータンチェックのシャツを合わせて、襟口や袖口からチラ見せしている。三人並ぶだけでも華やか。

でも、今回はそれだけじゃない。オーナーを大いに歓喜させたのは皇樹さんの存在感だ。

「……っていうか、弟さん、こんなに格好よかったっけ?」

すらりとした長身はモデルにしか見えない。私と同じようにシャツの上にニット重ねているのだが、気品と遊び心に満ちたその装いは、誰もが『こんなパパが欲しい!』と憧れること請け合いだ。

足が長すぎてチノパンがアンクル丈になっているが、それはそれで格好よく見えてしまうので不思議である。

「実は、本物の主人なんです。正式に結婚することが決まりまして」

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