御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
もう一度「ただいまー」と呼びかけて、リビングのドアを開けてみると。

「ママー!」

「おかえりー!」

子どもたちが私の右足と左足、それぞれに飛びついてきた。カウンターキッチンの中から、エプロン姿の皇樹さんが「おかえり」とやってくる。

「ご飯、作ってくれてたんですか?」

「ああ。っていっても、カレーくらいしか思いつかなかったんだけど」

キッチンを覗き込んでみると、カレーの鍋がふたつ。大きい方の鍋には大人用の、具材がゴロゴロ入ったカレー。小さい方の鍋には、野菜が細かく刻まれた、ひき肉カレーが入っていた。

「子どもたちのルーは、これでいいんだよな?」

皇樹さんが『カレーのプリンス』と書かれた子ども用ルーのパッケージを見せてくれる。私は「ばっちりです」と言って親指を立てた。

「ゆず、おうえんしたよ!」

「かのんも!」

気づけばカスタネットやタンバリン、運動会で使ったボンボンがリビングに転がっていて、応援合戦をしていた様子がうかがえる。

「パパ、ち、でちゃったんだよねー」

柚希のひと言に、私は「ち……?」と凍りつく。もしかして血……?

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