御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「それは内緒の約束だろう?」

皇樹さんが苦い顔をしてこっそりと左手を隠したのを見て、私はすかさず詰め寄った。

「包丁で切ったんですか? 手当てはしました?」

「いや、軽くだから。たいして血も出なかったし」

「見せてください!」

「いいよ、平気だ」

「だめです」

あまりにも隠すものだから、見かねた子どもたちが「パパをおさえろー」と飛びついてくる。観念した皇樹さんが、左手を差し出した。

人差し指の先に、斜めの切り傷。確かにもう血は止まっているが、なにかの拍子に開いてしまいそうで痛々しい。

柑音がぶるぶるしながら「ぴゃっ」と悲鳴をあげて目を覆った。血は苦手みたいだ。

「ちょっと待っていてくださいね」

私は救急箱を持ってきて、消毒液とカット綿、絆創膏を取り出す。

「ひとつ弁解させて。料理ができないってわけじゃないんだ。ただ、久しぶりすぎて勘が戻らなかっただけで」

「よーくわかりましたから、傷口を見せてください」

私は患部を軽く消毒して絆創膏を貼る。最後に「痛いの痛いのとんでいけー」と三人で呪文をかけて治療終了。


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