御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「柚希と柑音におやすみのキスをもらったら、疲れの五割は吹き飛んだ」

「じゃあ、残りの五割は?」

「このあと、楓に吹き飛ばしてもらおうかな」

そう言って含みのある甘い笑みを浮かべる。すかさず夜風が火照った頬を冷やしてくれるのでありがたい。

「楓。家族にならないか。名実ともに」

不意に彼が切り出す。

戸籍上、まだ私たちは家族ではない。プロポーズは受けたものの、正式な手続きは一緒に暮らして問題なければ、という話になっている。

とはいえ、子どもたちはすっかり皇樹さんに懐いているし、私は大切にしてもらっているし、躊躇う必要はなさそうだ。

「はい。皇樹さんも、それでかまわないのでしたら」

「当然だ。俺はオーケーをもらえるまで、永遠に求婚し続けるつもりだよ」

情熱的に囁いて、私の左手を持ち上げる。そこには先日もらったプラチナの指輪があって、彼は誓いを立てるように口づけた。

「こうして肌身離さずつけてくれるくらいには、気持ちが決まっているってことでいいのかな」

「それは……もちろん」

だって、皇樹さんと結ばれるのは私の夢でもあるのだから。

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