御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
文句を言いたいが言える相手ではない――そんな空気をふたりからひしひしと感じる。とくに家格や肩書きに弱い母は、そわそわとして落ち着かない。

父がようやく、口を開いた。

「楓から、父親は言えない、結婚も考えていないと聞いて、確かに激しく憤りました。ですが相手が久道家の人間だというなら話は別です。亡き洸一殿も、女性を身ごもらせてそのままにするなど、無責任な教育はしてこなかったでしょう」

のちのち火種となるに違いない私や子どもたちの存在を、久道家がただ放っておくわけがない。一族に迎え入れるにしても、入れないにしても、手厚い保護となんらかの法的手続きは取るはずだ。久道家の資金力を考えれば、そこを渋る必要はない。

だが、それをしなかったのには訳があるはずと、父はゆっくりと皇樹さんに向き直る。

「なにがあったか、事情を聞かせてもらえますか?」

皇樹さんが簡潔に説明する。仕事で三年間、海外にいなければならなかったこと。その間、私は出産。しかし、出産した事実が皇樹さんに伝わることはなかった。

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