御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「実際、そういう投資家たちを大事にしていれば、芙芝紡績は立て直せていたはずです。父さんは故縁にばかり頼っていたけれど、今の芙芝紡績は新規の個人投資家を大切にしていますよ。支援者を増やすためにも、企業の見られ方をとても大事にしている」

経営の仕方を非難され、父の顔がいっそう曇る。

「私が間違っていたと言いたいのか」

「周りの意見に耳を貸してほしいと言ってるんです。時代は移り変わる。父さんの頃の常識は、今の常識とは違う」

蓮兄の言葉に、父は不愉快そうに顔を歪めた。母は怒りを溜め込んでわなわなと震えている。

そんなふたりを見て、蓮兄は小さく息を吐いて「くだらない喧嘩をしたいわけじゃないんだ」と目を据わらせた。

「いい加減、紅葉を認めてやってください。それから、楓の扱いについても非を認めるべきだ。愛のある対応ではなかった」

――蓮兄はずっと、私と紅葉に対する両親の対応に怒りを積もらせていたんだ……。

紅葉が勘当されたあと、紅葉の居場所をこっそりと私に教えてくれた蓮兄。『俺たちの代わりに、紅葉の一番近くにいる楓が支えてやってくれ』そう言われたのを覚えている。

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