御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
私が勘当されたときは逆に、私の居場所を紅葉に連絡してくれた。当時、久道家に連絡されないためにも、私の住所は蓮兄にしか教えていなかったのだ。

以降も、兄たちはお祝い金だなんだと理由をつけて、ささやかな金銭的支援をしてくれていた。

父の目がこちらに向く。少しだけ申し訳なさそうな顔。謝りたくても謝れない、そんな意固地な視線を受け取って、私は小さく微笑む。

「私のことはかまいません。ただ、子どもたちにおじいちゃんおばあちゃんがいないのは、少しかわいそうで」

おじいちゃん、おばあちゃんの温もりを知らずに育つのは、かわいそうだ。皇樹さんのご両親はすでに亡くなっているから、柚希と柑音の祖父、祖母になれる人間は彼らしかいない。

そのとき。縁側をどたどたと走る音が聞こえてきた。

「こらこらこら~、ふたりとも~」

椿兄の柔らかな叱り声。かと思えば、ちらりと襖が開いて、きょろんとした目が二対、こちらを覗き込んできた。

「パパぁ! ママぁ!」

「みぃつけたあ~!」

ふたりが大声をあげて居間に飛び込んでくる。柑音は私、柚希は皇樹さんの胸もとにそれぞれ飛び込んだ。

「ごめーん、柊兄がトイレ行った隙に、ふたりが飛び出していっちゃって」

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