御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「私も小さい頃、編み込みをしてもらった覚えがあります」

「そうね。楓の髪はくせっ毛でふわふわしていて、纏めるのが大変だったわ」

久しぶりに母と冷静に会話をした気がする。子はかすがいと言うけれど、夫婦だけでなく、両親とまで絆を繋いでくれるなんて。

「今度、家族全員で食事でもするか。……紅葉も呼んで」

柚希と手遊びをしながら、父がぽつりと漏らした。『紅葉も』――その言葉を聞いて、蓮兄たちは顔を見合わせる。

そして、大きなリアクションをしたのは兄たちだけではなかった。

「もみじにいちゃんもくるの?」

柑音がパッと目を見開く。

「あのね、もみじにいちゃんち、すっごい、たかいとこなんだよ」

柚希が手を伸ばし、ぴょんぴょん跳ねて高層マンションの高さを表現する。

「おそらにあるんだよ」

「そうか。お空にあるのか。そりゃあすごい。じいちゃんも行ってみたいな」

「じゃあ、ゆずといこう!?」

無邪気に誘われ、父は「うん、行こう」と笑顔で頷く。

「かのんも、おばあちゃんといく!」

母は一瞬戸惑ったようだったが、「そうね。行きましょうね」と柑音に微笑みかけた。

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