御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
オーナーが不思議そうに首を傾げる。元モデルからモデルと間違われるのだから相当なものだ。

私は苦笑しながら「ごく普通の会社員です」と告げる。……『普通』でも『会社員』でもないけれど。

「ファニーグランマは母子コーデがメインだったのに、パパさんのお陰ですっかり家族コーデに火が付いちゃった。お礼言っておいてね」

「お役に立てて光栄です」

しっかりと売り上げに貢献できているようで安心した。オーナーがふと笑みをこぼす。

「パパさんが来てから、芙芝さん、とっても顔色がよくなったわね」

「え?」

思いもよらぬ指摘を受け、ぱちりと目を瞬かせる。

「あと、笑顔がとっても自然になった」

「……もしかして、今まで笑顔が引きつっていました?」

「笑顔の中にどこか寂しさが感じられたの。なにかをあきらめたみたいな、儚い感じが」

皇樹さんと再会する前を思い出し、胸がちくりと痛む。

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