御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「私は皇樹(こうき)さんが誇らしいんです。だから申し訳ないなんて、思わないで」

彼、久道(くどう)皇樹は旧財閥家の跡取りで、生まれながらにして巨大グループ企業の未来を背負っている。幼い頃から英才教育を受け、名門学校に通い、立派な後継者になるべく育てられた。

そんな彼が明日、日本を経つ。

久道グループの代表となるべく、海外支社の重要な役職につき、研鑽を積むのだそう。立派な経営者となるために避けては通れない道だ。

(かえで)はいつも、俺を応援する代わりに自分を犠牲にするから困るんだ」

さらに強く引き寄せられ、半身が温もりに包まれる。

「なんのことです?」

「忘れたのか? 家業に問題が起きたとき、俺に迷惑をかけまいと関係を清算しようとしただろう」

つい数年前の出来事を思い出し、いたたまれなくなり目を逸らす。

私、芙芝(ふしば)楓は歴史ある紡績会社の創業家の出身。家柄を信頼され、五歳で皇樹さんの許嫁に選ばれた。

しかし私が大学生のとき、家業が立ち行かなくなり、父は経営から退くことに。名誉も肩書きも失い、許嫁関係は白紙に戻った。

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