御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
幸せなはずなのにどこか埋まらない、虚しく空いた心の穴が、普段の表情に現れていたのかもしれない。

「今は、心から笑っているのだとわかる。もう心配はいらないわね」

オーナーにポンと肩を叩かれて胸が詰まる。

他人に心配をかけまいと感情を押しころしてきたはずなのに、周りから見れば逆に不安定に見えていたのかもしれない。

「ご心配をおかけしました。もう大丈夫です」

オーナーの手を両手で包み込む。これまで見守ってくれてありがとう、そう感謝を込めて。

「従業員としてはまだまだ期待してるわよ。ファニーグランマをたくさん盛り上げてね」

「もちろんです!」

お世話になった分、これからは恩返しをしていく番だ。そう自身を奮い立たせると、育児も仕事もやる気がみなぎってきた。




週末の日曜日。皇樹さんが仕事で朝早く出かけるというので、久しぶりに紅葉の家にお邪魔することにした。

「いらっしゃい。うちに来るのは久しぶりだね」

玄関で紅葉が出迎えてくれる。柑音と柚希が「もみじにいちゃん~!」と声を揃えて飛びついた。

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