御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ほらほら、ふたりとも。おうちに入るときは?」

私の問いかけに、ふたりは「おじゃまします!」と叫んで玄関の靴を揃える。

元気な挨拶に、紅葉はふにゃりと目もとを緩ませて「いらっしゃい」と答えた。

「やったあ、おそらのおうち!」

はしゃぐ柚希に「今は自分の家の方が豪華だろう?」と紅葉が苦笑する。

入居してすぐの頃、一度紅葉を家に招いたが、あまりの豪華さに「うっわー」を連呼していた。とくに子どもたちの部屋の広さには「俺の部屋の倍はあるじゃん」と苦笑するしかなかったようだ。

「でも、おそらのおうちは、とくべつよ」

柑音が言うと、紅葉は嬉しそうに「そっかそっか」と子どもたちの手を取ってリビングに向かった。

紅葉がふたりの相手をしてくれている間に、私はキッチンでお茶を淹れる。

「そういえば、父さんから電話があったよ」

ふと紅葉がキッチンのカウンター越しに報告してくれる。

「もう二度と話すことはないかもって思ってた。間、取り持ってくれたんだよね? ありがと」

「蓮兄が説得してくれたの。皇樹さんも口添えしてくれたし」

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