御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「父さんに家が見たいとか言われて、びっくりしたよ。楓たちが遊びに来るときに合わせて会いにくるって。ふたりきりで会うのは、まだちょっと気まずいみたい」

紅茶の入ったマグカップふたつを紅葉がテーブルに運んでくれる。子どもたちは麦茶だ、持参した水筒を開けて、子ども用のカップに注ぐ。

「照れてるのよ。お父さんらしい」

父なりに、息子との溝を埋めようとしてくれているのだろう。きっといつか、家族全員で集まってご飯を食べられる日がくる。

「ところで、そのでかい紙袋なに?」

私が今日持参した紙袋を見て、紅葉が首を傾げる。

「これね。じゃーん!」

中から取り出したのは、立派な巨峰。大粒で実がプリッとしていて瑞々しい。

「うわーうまそー。あと、めっちゃ高そう」

「皇樹さんがたくさん買ってきてくれたの。紅葉、好きだと思ったから。お裾分け」

「サンキュー。じゃ、みんなでさっそく食べようか」

私は巨峰を持ってキッチンへ。紅葉も一緒にやってきて、食器棚から大きな平皿を取り出す。

そのとき、子どもたちのいるローテーブルの上でコトリと音がした。

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