御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「はい、わかります」

「OK. Uh……この場所に、行きたいデス」

彼女が見せてくれたスマホにはマップが開かれていて、検索欄にはアルファベットで住所が入力されていた。しかし、目的地が読み取れないのか、マップが反応しない。

住所を確認してみると『渋谷区(しぶやく)』が『Shibutaniku』になっていた。

「ここを直して……」

スペルを訂正するとマップが反応し、目的地のアイコンが浮き上がった。女性が「Wow!」と嬉しそうに声をあげる。

番地までは見えなかったが、その目的地を見て自宅の近くであることに気づく……というか、この大きな敷地はうちのマンション?

「近くまで行きますので、ご案内しましょうか?」

提案してみると、女性は「ありがとう!」と花が咲いたように笑った。

黙っていると凛として百合のように気高いのに、笑うとマーガレットのように愛らしい。素敵な女性だなと思った。

「私ハ、メアリー。よろしくお願いしマス」

「私はカエデです。日本には、ひとりで来たんですか?」

なるべくわかりやすいようにゆっくりと尋ねると、ちゃんと伝わったようで「ハイ!」という元気な返事が来た。

< 207 / 255 >

この作品をシェア

pagetop