御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「イギリスから来マシタ。日本ハ、はじめてデス」

五分程度の道のりを並んで歩きながら、彼女は自身について教えてくれる。

「夫に会いたいため、来マシタ。夫ハ、日本デ働いてマス」

どうやら来日の目的は、日本に赴任中のご主人に会うことのようだ。

「日本語、とてもお上手ですね」

「ハイ! たくさん勉強シマシタ! 夫と、話ヲしたい」

キラキラした目で語るメアリー。『夫と、話ヲしたい』――私はてっきり、ご主人もイギリスの方かと思っていたけれど……。

「もしかして、ご主人は、日本の方ですか?」

彼女は笑顔で「ハイ」と答える。

「日本の会社で、社長をしてマス。とても素敵なヒト。一度、会いマシタ」

「一度……だけ?」

聞き間違いかと思って尋ねるも、彼女は元気よく頷く。

「私のパパも社長。イギリスの大きい会社デス。結婚はパパの仕事のため、とても大事デス」

彼女の言葉を繋ぎ合わせて解釈すると……つまり父親の会社のために政略結婚をしたということ? しかも、まだ一度しか会ったことがない外国人を相手に?

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