御曹司様、あなたの子ではありません！～双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした～

彼女の斜め向かいに座り、ノートパソコンを開く。写真の少し暗くなっていた部分にライティングの加工を施し、色を見やすくして、仕上げに三人の顔を隠した。

ブログの本文には商品情報。素材にサイズ展開、お値段、それから着心地と子どもたちの反応も。

「アップロード完了、と」

ブログの管理を終わらせたあと、オンラインショップの注文を確認。発注の準備をする。

あっという間に開店三十分前。出勤してきたのは私と同じ子育て中のパート社員、吉原さんだ。すかさずオーナーが声をかける。

「おはよう、吉原さん。お子さんの風邪、大丈夫そう？」

吉原さんは先週の金曜日の午後に、息子さんの急な発熱で早退した。翌日は通院のためお休みで、体調が気掛かりだった。

「急に休んじゃってすみませんー！　結局風邪じゃなくて中耳炎だったみたいで。ようやく熱も収まって、学校に行けたんですよ」

「中耳炎って繰り返すのよね。また熱が上がるようなら遠慮なく休みなさいね？　こっちは心配しなくて大丈夫だから」

「いつもすみません、助かりますー」

子どもの急病でお休みするママさんも多いから、オーナーはあらかじめ充分な人数でシフトを組んでいる。