御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「実ハ、部屋番号が、ワカリマセン」

「そ、そうなんですか!? ご主人に連絡は……」

「内緒で来マシタ……。でもっ、きっとダイジョウブ。フロントにお話しシマス。夫、帰ってくるまで、待ちマス」

私は困惑して立ち止まる。フロントで聞いたとしても、個人情報保護等の観点から部屋番号は教えてもらえないだろうし、待たせてもらえるかも怪しい。

頑張ってここまで会いにきたのに、門前払いではあまりにも酷だ。

「ご主人のお名前を伺っても?」

居住している私からフロントにお願いすれば待たせてもらえるかも。そんな期待を込めて尋ねてみると。

「夫の名前ハ、コウキデス。コウキ・クドウ」

「え……」

彼女の口から紡がれた名前に頭が真っ白になる。動揺を押しころすので精一杯で、視線が彷徨った。

皇樹さんが、彼女のご主人……?

よくよくメアリーの言葉と、かつて洸次郎さんから受けた説明を照らし合わせてみると、あまりにも腑に落ちる。

『イギリス』『良家の令嬢』『政略結婚』――これらはでまかせではなく、真実だった? 皇樹さんはすでにメアリーと籍を入れて……?

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