御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~


紅葉のマンションに戻ってきたのは、皇樹さんとメアリーの再会を目撃して一時間ほど経ったあとだった。

「「ママーおかえりー!」」

玄関の開く音を聞きつけて、柚希と柑音が廊下をバタバタと駆けてくる。

「楓? 随分遅かったけど……ああ、買い物してきたの?」

あとからやってきた紅葉は、私がビニール袋を持っているのを見て首を傾げる。

結局マンションには帰れなかった。けれど、柑音の下着を持ち帰らないわけにはいかず、駅近くのデパートにある子供服売り場で下着を買ってきたのだ。

ついでに子どもたちのパジャマと着替えも購入した。

「ただいま。今日はここにお泊まりしよっか」

私が腰を落として子どもたちに相談すると、ふたりは「ほんとー?」「やったぁー」と飛び上がって喜んだ。

「お邪魔していい? 紅葉?」

「それは全然かまわないけど。なんかあった……よね?」

「ん……」

すいっと視線を逸らす。まだうまく説明する自信がない。口にしたら、本当のことになってしまいそうで。

「っていうか、明日保育園でしょ? 荷物とか、どうするの?」

「あ……そうだった」

< 213 / 255 >

この作品をシェア

pagetop