御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
いずれはその立場に自分が立たなければと考えると、彼から学ぶべきものは多い。

「安定といえば。イギリスのロイヤル・ハワードグループと提携を結ばなかったそうだな」

ロイヤル・ハワードグループとのコネクションを作る、それがイギリス赴任の目的のひとつ。父からは提携に相応しいパートナーか見極めるように言われていた。しかし――。

「調整を進めていましたが……どうも一方的で」

向こうから持ちかけてきたにもかかわらず、条件は圧倒的にあちら側に有利だった。こちらがいくら譲歩しても、歩み寄る素振りはなく平行線。我が社が食い物にされるくらいならとこちらから断った。

「これ以上踏み込むのは危険だと判断しました」

「いい判断だ。あの辺の連中はとにかくプライドが高いからな。対等な契約では満足できんのだろう。洸一もそれを見込んでの様子見だったのだろうし」

提携こそなくなったが、イギリス支部の経営規模拡大には充分すぎるほど貢献した。ハワードグループに代わる独自の人脈も得て、イギリス赴任は実り多かったと言えるだろう。

「代わりと言ってはなんですが、アメリカのロッドウッド社との提携を考えています」

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