御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「ほう。それはおもしろい」

彼が興味深そうに眉を跳ね上げる。ロッドウッド社と対等な交渉の場に立てた、それは父もなしえなかったことで、俺の功績と言っていい。

「ハワードグループの傘下に下るよりは、ロッドウッド社と提携を結んだ方が、将来的にもずっといいだろう」

「そう言っていただけてよかった。……叔父は今でもハワードグループとの提携をあきらめていないようですが」

「彼か……。それに関しては、どうもきな臭い話を聞いてな」

会長は酒器を口もとに持っていき、声をひそめて切り出す。

「RHBエアサービスの代表と親しくしているようだな。ハワードグループとの提携を推していたのは、そのせいだろう」

ロイヤル・ハワード・ブリティッシュ・エアサービス。ハワードグループが日本に展開している空運会社だ。

貿易会社の代表を務める洸次郎さんが、その代表と親しいのは不思議ではないが、わざわざ近堂会長が口にするということは、警戒すべき情報を掴んだのだろう。

「あれはクーデターを起こすつもりだ。好き勝手させるなよ」

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