御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
普段は従業員が多いからといって誰かが暇になるわけでもなく、接客や陳列のほかにも、オンラインショップの管理や在庫のチェック、店内装飾やチラシ作りなど、そのときできることをみんなでこなしている。

人手が足りないときはオーナー自身も接客に回るし、彼女の娘さんがヘルプで入ってくれることも。

そんな感じでこの店は回っていて、お客様ファーストであると同時に、従業員ファーストでもあるのだ。

だから私たち従業員はオーナーを心から慕っている。この店で働き始めて二年になるが、辞めたいと思ったことは一度もない。できる限り力になりたいと思う。

続いて出勤した岡本さんと四人で売り場に向かうと、オーナーは手をパンパンと叩いて号令をかけた。朝礼の時間である。

「いつも通り売り場の清掃、整頓をお願い。私は裏で事務作業してるけど、なにかあったらいつでも呼んでちょうだいね」

ざっと今日一日の段取りを確認し、開店準備に入る。

入口から一番近い棚には、今、私が着ている親子のリンクコーデが陳列されている。ギンガムチェックのトップスと、ベージュのボトムスを並べながら、売れるといいなあと願いを込めた。



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