御曹司様、あなたの子ではありません！～双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした～

予定よりも早めの帰宅となった。彼女は子どもたちとともに家にいるだろうか。それともどこかへ出かけただろうか。

車寄せまで送ってくれた秘書に礼を告げ、車から降りたところで。

「コウキ！」

聞き覚えのない声に名前を呼ばれ、驚いて振り向く。

いや。荷物をすべて放り出して走ってくる女性には、確かに見覚えがあった。

「君は……メアリー！？」

ハワード家の長女メアリー、二十歳。彼女とはハワード家主催のパーティーで一度だけ会ったことがある。

彼女の父親はロイヤル・ハワードグループの代表。そして彼女こそ、叔父が強く縁談を勧めていた女性だ。

『会いたかった……！』

英語でそう漏らしながら勢いよく飛び込んできた彼女を受け止め、俺は『どうしてここに――』と驚きの声をあげる。

彼女はこの場所を知らない。そもそも俺に会いにくる理由がないのだ。

縁談をする気はないと一番初めに伝えたし、ハワード家との提携は合意に至らず白紙となった。

とはいえ、彼女が偶然ここにいるとは考えにくい。俺に用があって来たと考えるのが妥当だろう。

『なにがあったのですか？』