御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
指摘すると、彼女は真っ青になって唇を震わせたが、もとより状況に違和感はあったのだろう。

『……本当は、おかしいかもしれないって思っていたの。でもあなたと、なにかあったと信じたかった。そうすれば、きっとお父様の役に立てると思ったから』

ほろほろと涙を流し始める。顔を覆ってその場にしゃがみ込んだ。

『私となにかをした記憶があるわけではないのですね?』

彼女はこくりと頷く。なにかあったと信じたかっただけで、本当はなにもなかったと気づいていたのかもしれない。

『メアリー。提携の話はなくなりました。もう自分を犠牲にしなくていいのです』

『犠牲……?』

そうは思っていなかったのか、驚いた表情で顔から手を離す。

『あなたはあなたの意思で、結婚相手を選ぶんです』

『私の、意思……』

『俺には、なにを犠牲にしても一緒になりたい女性がいます。心から愛している。あなたにも、そういう男性と出会ってほしい。心から望んで結ばれてほしい』

俺の言葉を、彼女はじっと耳を澄ませて聞いている。

『心から望む、結婚……』

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