御曹司様、あなたの子ではありません！～双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした～

彼女がここにいて、俺とメアリーのやり取りを見ていた――最悪の誤解をさせてしまったかもしれないと恐怖して眩暈がした。



＊＊＊



紅葉の家に戻ってきてからしばらくして。ぼんやりとソファに座っていたら、子どもたちが両足にしがみついてきた。

「ママー？　どうしたの？」と心配そうにこちらを覗き込んでくる柚希。

「ママ？　かなしいの？」とすでに半泣きになっている柑音。

笑顔で接していたつもりだったのに、子どもたちには無理をしていたのがバレバレで、情けない気持ちになる。

「なんでもないのよ。たくさん歩いて、ちょっと疲れちゃったのかな」

笑ってごまかそうとするけれど、こういうときに限って子どもたちは騙されてくれない。

「ママ、こまってる」

柚希がそう断言して、私の返答を待たずにパッと両手を大きく広げた。

「パパにたすけてもらおう！」

柑音も閃いたようにぴょんと飛び跳ねる。

「パパがいるから、だいじょぶ！」

キラキラと光る子どもたちの目は、一心に皇樹さんを――パパを信じている。ママを必ず助けてくれると確信して疑わない、無垢な瞳。