御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
その日の午後、ブログを見たお客様がさっそく来店し、親子コーデの上下をセットで購入してくれた。オンラインショップの注文も順調に入ってきている。

十八時、閉店よりもひと足早く、私の勤務時間終了だ。上がらせてもらい帰宅の途に就く。

駅に着いてふとスマホを見たところで、新着メッセージに気づく。

【仕事が早めに終わったから、子どもたち迎えに行く】

「えっ」

そうチャットを送ってきたのは、ふたりの父親――では、ない。

私の双子の弟・芙芝紅葉(もみじ)、二十八歳。

職業は投資家。企業には属さず、個人で株や為替、不動産、暗号資産などを幅広く運用しているそうだ。

詳しくは私も知らないが、学生の頃にトレーダーとして成功し、それを元手に投資を始めて、今では結構な高収入を得ているらしい。

とはいえ就職していない分、不安定な仕事ともいえる。昔気質な父親には嫌がられて、私と同様、勘当同然なのだけれど。

「迎えに行くって……大丈夫かなあ?」

弟と一緒に暮らしていた頃は、よくお迎えをお願いしていたけれど、この二年はすっかりご無沙汰である。

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